システム選定は楽しい。でも、それだけではうまくいかない。

システム選定は楽しい。でも、それだけではうまくいかない。

システム選定というのは、純粋に楽しいものです。

新しいサービスを見つけると、とりあえず触ってみたくなる。どんな機能があるのか、なぜこの機能を作ったのか、この設定項目は何のために存在するのか。そんなことを考えながら動かしていると、開発した人たちの意図が少しずつ見えてきます。ヘルプやドキュメントがしっかり作り込まれているのを見ると、「よく考えられているな」と感心したりもします。

仕事柄、デモや製品説明を見る機会は非常に多いですが、いまだに飽きることがありません。

「システムから考えるな」という違和感

業務改善の文脈では、よく「システムから考えてはいけない」と言われます。

言いたいことは分かります。課題を整理しないまま製品の知名度だけで選んでも、うまくいかないことが多いからです。実際に、それで途中で身動きが取れなくなってしまったプロジェクトは少なくありません。

しかし、システムから興味を持つこと自体は、決して悪いことではないと考えています。むしろ自然なことです。

「このシステムを使えば、今の状況を変えられるかもしれない」と思えることは、新しい取り組みを始める大切なきっかけになります。入り口はシステムでも業務でも、どちらでも構いません。問題は、そのあとに課題とどれだけ真面目に向き合えるか、それだけです。

「使ってみたい」というエネルギー

新しいシステムを導入するプロセスには、少なからず変化を伴います。今までのやり方を変え、覚えることも増え、社内への説明や調整も発生する。正直なところ、面倒なことのほうが多いのが現実です。

だからこそ、「このシステムを使ってみたい」という現場のワクワク感は、意外と馬鹿にできません。

同じシステムを入れても、「会社から強制されて仕方なく使っている」ケースと、「これがあれば何かが変わるかも」と期待しているケースでは、その後の定着スピードがまるで違います。プロジェクトを前に進めるエネルギーとして、この感覚は軽視すべきではないと思っています。

盛り上がるデモ、置き去りにされる課題

ただし、ここからは冷静になる必要があります。システムが魅力的であることと、自社の課題を解決できるかどうかは、完全に別問題だからです。

選定の会議でよくあるのが、ベンダーのデモが洗練されていて、その場が非常に盛り上がる光景です。しかし気がつくと、会話のすべてが「どの機能がすごいか」という製品論に終始しており、「そもそも何を解決したかったのか」という肝心な目的がどこかに消えてしまっているケースがあります。

だからこそ、どれだけシステムにワクワクしたとしても、一度立ち止まって次の5つの問いを検証する必要があります。

  • 本当に解決したい課題は何か
  • 誰が利用するのか(選定者と現場の乖離はないか)
  • 現場の運用リテラシーで受け入れられるのか
  • 組織として継続して運用できるのか
  • 費用対効果は見合うのか

特に「誰が使うのか」は見落とされがちです。システムを選ぶ人と、毎日それを触る現場の人間は、たいてい異なるからです。

システムが、隠れた課題を教えてくれる

一方で、システムを実際に触ることで、自分たちの課題の見え方が変わるという面白い現象も起こります。

「なるほど、世の中にはこういう業務プロセスの組み立て方があるのか」と、システム側の思想に気付かされるのです。

たとえば、当初は「手作業の入力を効率化したい」という相談だったとします。しかし、課題の背景を深掘りしながら一緒にシステムを動かしていくと、本当に困っていたのは日々の入力作業ではなく、その先にある「データの集計や分析がリアルタイムにできないこと」だった、というようなズレがよく見つかります。

この場合、単に入力を自動化するだけでは、根本的な悩みは解決しません。

業務だけを見ていても、視野が狭くなって最適な手段に気づけないことがあります。だからこそ、システムという外の物差しを見る価値があるのです。

業務とシステムを、行ったり来たりする

結局のところ、業務だけを見ていてもダメですし、システムだけを見ていてもうまくいきません。

  • 業務を観察しながら、システムに何ができるかを知る。
  • システムの仕組みを知りながら、自社の業務プロセスを見直す。

日々の業務改善の仕事は、基本的にはこの「行ったり来たり」の繰り返しで成り立っています。決して派手な作業ではありませんが、この実直な往復のなかでしか、「自分たちにとって、ちょうどいい仕組み」は見つかりません。

まとめ

システム選定という仕事が好きだからこそ、新しいツールに興味を持つワクワク感を否定したくはありません。

ただ、システムは魔法の道具ではないのも事実です。どんなに優れた製品であっても、自社の業務プロセスの現実と向き合わなければ、期待した成果は出ません。高機能でありながら、結局使われずに形骸化してしまう仕組みは、世の中に数多く存在します。

ワクワクしながらシステムを触る。大いに結構だと思います。そして同時に、冷徹な目で自分たちの業務の流れを眺める。

その両方の視点を持って初めて、本当に意味のある仕組みづくりができるのだと考えています。

【ツールの選定や業務設計にお悩みの方へ】

リベラメンテでは、特定のシステムを導入すること自体をゴールにしません。現在の業務プロセスを一緒に紐解き、システムと運用の両面から「最適な取引の流れ」をデザインする支援を行っています。「自社に合うシステムが分からない」「導入したシステムが定着しない」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。